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訪問看護1人開業の特例打ち切りへ、社保審が了承
2013年8月21日
21日の社保審・介護給付費分科会
東日本大震災の直後から実施されてきた訪問看護ステーションの1人開業を認める特例措置が、今年の10月で打ち切りになることが決まった。厚生労働省が21日、介護報酬などを話し合う社会保障審議会の分科会に特例措置の打ち切りを提案し、有識者委員から了承を得た。利用者がいる場合は経過措置として継続を許すが、早期に2.5人以上という本来の基準を満たすように促し、1人開業の事業所に頼らなくてもいい体制の構築を進めていく。
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訪問看護ステーションの1人開業を認める特例措置は、東日本大震災が起きた直後の2011年4月に、被災地で高齢者へのサービスを確保するために創設された。最初は「あくまでも一時的な対応」(厚労省)として約1年を期限としていたが、被災地の自治体などからの要望に応えるかたちで、これまで1年半にわたって延長されてきている。
この特例措置をめぐっては、「サービスの継続性が担保されない」「看護師に何かあったら利用者はどうなるのか?」といった慎重論が根強く、過去に何度も継続の是非が議論されてきた。厚労省も同じ理由で1人開業は望ましくないと考えており、特例措置の対象範囲を段階的に絞り込んできている。当初は災害救助法が適用された市町村を対象にしていたが、2012年3月から大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の3県に限定。現在は、実際に1人開業の事業所が存在している宮城県石巻市と福島県南相馬市に限った措置へと縮小されている。これらの地域で特例措置が継続されてきたのは、「住民の避難によって人員が確保できない」「訪問看護を利用できない人がいる」といった要望があったためだ。
☆ 「利用者の受け入れが可能に」
21日の社保審の分科会で厚労省は、石巻市と南相馬市にある1人開業の事業所の現状を報告。それによると、今年6月の時点で1人開業の事業所には13人の利用者がいる(2市計)が、両市ともに特例措置のこれ以上の継続は望んでいなかった。継続を望まない理由としては、「人員基準を満たした訪問看護ステーションが開設され、利用者の受け入れが可能になった」「サービスの提供が充足されつつある」といったものだった。
厚労省はこうした自治体の声を踏まえ、10月12日限りで特例措置を打ち切ることを提案した。ただし、1人開業の事業所が利用者を抱えている場合は、基準を満たす看護師を揃えるまでの間、経過措置として継続を認める。社保審の分科会では目立った異論が出ず、こうした提案を受け入れた意見を厚労相に答申した。
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