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高齢者の7割が水分不足、熱中症対策に誤解も
2013年8月23日
高齢者の7割以上が1日に摂取すべき水分量を取っておらず、日常的に水分不足の状態にあることが20日、水に関する研究やその選び方などの情報を発信している「水と生活プロジェクト」の調査によって明らかになった。調査では、高齢者の熱中症対策への関心の高さが目立つ一方、その対策について誤解が多いことも判明している。
調査は今年の8月2日~6日にかけて、全国の60歳以上の男女400人にインターネットでのアンケート形式で実施された。
人は1日約2.5リットルの水分補給が必要だといわれている。食事や体内で作られる水は1.3リットル程度であるため、飲み水から摂取すべき水分は概ね1.2リットルとなる。
調査で高齢者に1日に平均でどのくらいの水分(水・お茶など)を飲んでいるか質問したところ、「1.2リットル以上摂取している」と答えたのは全体の27.8%のみ。残りの72.2%は水分不足であることがわかった。中でも多かったのは、「ペットボトル2本(1リットル)程度」(42・0%)という答えで、次いで「ペットボトル1本(500ミリリットル)程度」(28・0%)が多かった。「コップ1杯程度(200ミリリットル)」と答えた人も2.3%いた。
〜 86%が熱中症対策に関心あり 〜
また、熱中症対策に関心があるか尋ねたところ、「ある程度関心がある」と答えた人が59.8%と最も多かった。「とても関心がある」という回答も26.3%あり、2つを合わせると86.1%にのぼる。熱中症の対策をしているかという質問に72.3%が「している」と答えていることからも、高齢者の熱中症への関心の高さや危機感がうかがえる。
熱中症にならないと思う場所について聞くと、23.0%は「家の中」と回答。しかし、環境省の熱中症環境保健マニュアル(2011年5月改訂版)では、65歳以上の高齢者が熱中症を発症した場所で最も多いのは家の中だという報告があがっており、家の中での熱中症の危険性に疎い高齢者が多くいることが判明した。
調査結果を受けて同プロジェクトの研究班は、高齢者が日常的・継続的に水分・ミネラルの補給を意識することの重要性を訴えている。なお、水分とミネラルは血液内に吸収された時にしか効果がないため、一度にたくさん摂取するのではなく、少しずつ続けて飲むことが必要になる。目安としては、1日1.2リットル以上、1回に200ミリリットル程度を、こまめに何回にも分けて飲むのが理想的だという。
総務省消防庁の発表によれば、今年熱中症で救急搬送された人の数は、5月27日の集計開始から8月18日までで4万7418人(速報値)と、前年同期の1.35倍にのぼっている。このうち74人が亡くなり、3週間以上の入院が必要な重症者は1305人だった。全体の48.3%(2万2900人)を65歳以上の高齢者が占めている。
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