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医療と介護の連携拠点事業、地域支援事業に追加へ

2013年8月29日


介護保険部会8.28.jpg28日の社保審・介護保険部会
厚生労働省は28日の社会保障審議会・介護保険部会で、在宅で医療と介護の連携を進める拠点となる機能を市町村が担う仕組みを、介護保険法の中に恒久的な制度として位置づけることを提案した。市町村が主体的に関わってく仕組みの中で、地域の医師会など医療サイドの関係者と密接に連携できるスキームをつくることで、医療と介護を一体的に提供できる体制の構築を進める狙い。提案を受けた部会では、市町村や地域包括支援センターの体制が整っていない現状を踏まえ、十分な準備期間の確保や国による支援を求める声があがっている。



第46回社会保障審議会介護保険部会資料LinkIcon資料はこちら



厚労省が提案したのは、地域支援事業の包括的支援事業に「在宅医療・介護の連携推進に係る事業」を加えること。実際の取り組みとして想定されているのは、① 地域のサービス資源の把握・活用 ② 医療・介護の連携に関する会議の開催 ③ 他職種が参加する研修の実施 ④ 主治医・副主治医のコーディネート ⑤ ケアマネジャーの支援 ー などだ。


こうした取り組みはこれまで、主に医療サービスの提供体制を担当する厚労省の医政局がモデル事業として進めてきた。モデル事業には、医療と介護の連携を進める主体として、病院や診療所、訪問看護ステーション、各地域の医師会などが参加。在宅の現場で求められている医療と介護の連携を、医療サイドがイニシアチブをとって進めていく試みだった。


厚労省の今回の提案は、こうした医政局の取り組みを介護保険に組み込んではどうかというもの。在宅での医療と介護の連携を市町村の事業として法制化し、地域の医師会や病院などに事業を委託できる仕組みを新設することで、医療サイドが率先して連携を進めていくスキームを介護分野にも取り入れる。


厚労省老健局の朝川知昭振興課長は、今回の提案について、「医療と介護の連携は、ケアマネなど介護サイドから医療にアプローチするだけではうまくいかない」と説明。医療サイドから積極的に取り組んでいくことが重要だとしている。


現行の包括的支援事業では、すべての事業を一括して委託するよう市町村に求めている。だが厚労省は、医療の専門知識を持った医師会や病院などが主体として関われるよう、この新たな事業に限って単独で委託できるようにする方針だ。医療サービスの提供体制に関わっている都道府県が支援にあたることや、市町村がつくる介護保険事業計画にこの事業を具体的に記載させていく考えも示した。2015年度からの実施に向けて、来年の通常国会に提出する介護保険法改正案に盛り込む。


= 「2015年度からの本格実施は難しい」 =


だが、実際に事業を担うことになる当事者は、厚労省のこうした提案に強い懸念を抱いたようだ。28日の部会では、委員として参加している市町村の代表者から、実際に事業をうまく進められるか心配する声があがっている。


全国市長会で介護保険を担当している大西秀人委員(高松市長)は、「はっきり言って不安が大きい。地域を具体的に動かすとなると、現場のコンセンサスや意識改革が不可欠となり、もっと時間の余裕が必要」と説明。「2015年度からすべての市町村でうまく実施していくのは無理だろう。最初は任意事業としてスタートし、2018年度から本格的に実施する道も考えるべきだ」と意見した。全国町村会の代表者も、「2015年度から全市町村に義務づけるのは難しい。人材の確保も含めたサポートとセットで進めなければ実際にはうまく機能しない」と述べた。


これに対し、老健局の朝川振興課長は、「市町村への支援を、取り組みが進めやすいようにきめ細かく実施していく」などと理解を求めた。




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