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ケアマネ事業所の指定権限を市町村に委譲、厚労省が提案
2013年8月29日
28日の社保審・介護保険部会に出席した委員
これまで様々な課題が指摘されてきたケアマネジメントについて、厚生労働省は28日の社会保障審議会・介護保険部会で、今後の見直しの具体案を提示した。ケアマネジャーの資質の向上に向けて研修カリキュラムの見直しを提案したほか、ケアマネの育成や支援に市町村が積極的に関与すべきという視点から、事業所の指定権限を都道府県から市町村に委譲することなどを打ち出している。
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厚労省の今回の提案は、「ケアマネジャーの資質向上と今後のあり方に関する検討会」がまとめた報告書を踏まえたもの。この報告書では、「ケアマネの資質向上」と「自立支援に役立つケアマネジメントに向けた環境整備」の2点が、今後の対応の基本的な視点に据えられている。
= 2015年度から新制度実施へ =
ケアマネジャーは、「実務研修受講試験」に合格した後に44時間の「実務研修」を経て資格保有者登録がなされる。その後、実務に就く場合には33時間の「実務従事者基礎研修」の受講が求められ、有効期間の5年以内に更新研修を受けることも必要だ。
厚労省はこれらのカリキュラムについて、▷ 研修内容の充実を図るため、研修時間を見直す ▷ 研修修了時の修了評価を導入する ▷ 更新研修に「認知症」や「医療との連携」といった項目を追加する ― などを提案。研修を実施するためのガイドラインを策定するなど準備を整え、2015年度から新たなカリキュラムに移行するスケジュールを示した。
会合で内田千惠子委員(日本介護福祉士会副会長)は、「更新研修の内容が実務研修と同じだという意見や講師の資質が十分でないという声もある。そうしたことに留意して新たなカリキュラムを考えて欲しい」と要請した。
= 主任ケアマネ、資格更新制へ =
厚労省はこの日、ケアマネ事業所の指定権限を都道府県から市町村へ委譲することも提案した。ただし、指定権限を移した場合でも、都道府県が市町村を支援する仕組みが必要だとしている。
この提案に大西秀人委員(全国市長会介護保険対策特別委員会委員長、高松市長)は、「委譲の際は1600以上の市町村が初めて指定を行うことになる。(混乱が起きないよう)事務作業の手間も含めてスムーズな移行を考えて欲しい」と求めた。
厚労省はこのほか、主任ケアマネについて、資格を更新制にして更なる資質の向上を促すことに加え、地域のケアマネに対する現場での研修の実施やケアマネのネットワーク化といった役割を担わせることも提案した。
さらに、ケアマネの「実務研修受講試験」の受験要件を、「法定資格保有者か生活相談員、支援相談員、相談支援専門員のいずれかで、必要な実務経験が5年以上ある者」に変更する考えも示した。
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