= News =

2025年で約5兆円削減、医療・介護費の目標を設定

2013年9月2日


61e76f6140d736a1dccce98582b2b4f0_s.jpg
制度のサスティナビリティーを損なわないために給付費の効率化は欠かせないが、求められているのは有効な取り組みを思い切って進めていくことで得られる結果だ。


厚生労働省は30日、レセプトや健診データの活用、高齢者の介護予防などを推進することで国民の健康寿命を延ばし、医療・介護制度の持続性を高める取り組みを目標額とともに公表した。このなかでは、団塊の世代が75歳を超える2025年度の医療・介護費を約5兆円削減する構想を描いている。同日、記者会見に臨んだ田村憲久厚労相は、「今年を『予防元年』として推進したい」と意気込みをみせた。



「国民の健康寿命が延伸する社会」に向けた予防・健康管理に関する取組の推進LinkIcon資料はこちら



= 9月中に「健康づくり推進本部」設置へ =


今回提示された資料では、各自治体が地域の実情に応じた効果的な介護予防を行えるよう、地域単位で医療・介護情報の「見える化」を推進し、約6000億円の削減に繋げるとしている。さらに、認知症の高齢者が住み慣れた環境で暮らし続けられる支援体制の構築で約1000億円、口腔ケアによる誤嚥性肺炎の予防や肺炎球菌ワクチンの接種で約8000億円を削減するという。また、高齢者と地域のニーズのマッチングによるシルバー人材の活用を進めていく考えも示した。


現役世代については、医療保険者のレセプトや健診情報を活用したデータヘルス計画の策定、特定健診・保健指導などを通じた生活習慣病予防、禁煙相談・禁煙支援といったタバコ対策などで合計約2兆4000億円強の医療費削減を目指すという。そのほか、「健康な食事」の基準を策定・普及することや、がん検診の受診率を向上させることなども進める考えを示している。


医療資源を有効に活用する観点では、後発医薬品の使用促進で約1兆円、重複受診・重複検査の防止で約1000億円の削減に繋げるという。



厚労省は、取り組みの進捗などを省内で横断的に検討する「健康づくり推進本部」を9月中にも設置する。本部長には田村厚労相が就任する予定だ。


2011年度の医療・介護費は約48兆円。厚労省の推計では、2025年度に約83兆円まで達すると見込まれている。


ここから約5兆円を削減するという今回の目標は、一部の自治体が進めている好事例を全国的に展開することや、現在推進中の取り組みが成功して成果をあげていくことを前提としたもの。こうした前提の信憑性には不透明な部分も多く、目標どおりの削減を実現できるかはまだまだ未知数といえる。





〈 関連記事 〉


LinkIcon政府、社会保障改革のプログラム法案骨子を閣議決定


LinkIcon規制改革会議、最優先案件に介護のイコールフッティング


LinkIcon厚労省の概算要求、社会保障費増で30兆円を突破




twitter.pngtwitter.pngfacebook.pngfacebook.png

follow us in feedly